作業環境測定 |
概要
作業環境測定とは作業場所における労働者の健康状態確保のために、作業環境中の有害な因子の実態を正確に把握し、作業環境条件の状態を3段階で評価するものです。その評価結果により作業環境の改善等の措置が必要になります。
作業環境測定を実施するにあたり以下の3つの事項が定められています。
①粉じん、有機溶剤など10の作業場について、法定回数測定し、記録を法定年数保存すること(安衛法第65条第1項)
②作業環境測定基準に従って測定すること(安衛法第65条第2項)
③5つの指定作業場については、作業環境測定士または作業環境測定機関に測定させること(作業環境測定法第3条)
作業環境測定を行なうべき場所と測定の種類
作業環境測定を行うべき作業場 作業場の種類(労働安全衛生法施行令第21条) |
測定の種類 測定の回数 記録の保存 |
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1 (※1,※2) |
土石、岩石、鉱物、金属または炭素の粉じんを著しく発散する屋内作業場(粉じん則26条) | 空気中の粉じんの濃度および粉じん中の遊離けい酸含有率 6月以内ごとに1回 7年 |
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2 | 暑熱、寒冷または多湿の屋内作業場(安衛則607条) | 気温、湿度およびふく射熱 半月以内ごとに1回 3年 |
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3 | 著しい騒音を発する屋内作業場(安衛則590・591条) | 等価騒音レベル 6月以内ごとに1回 3年 |
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4 | 坑内の作業場 | 炭酸ガスが停滞する作業場(安衛則592条) | 炭酸ガスの濃度 1月以内ごとに1回 3年 |
28℃を超える作業場(安衛則612条) | 気温 半月以内ごとに1回 3年 |
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通気設備のある作業場(安衛則603条) | 通気量 半月以内ごとに1回 3年 |
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5 | 中央管理方式の空気調和設備を設けている建築物の室で、事務用の用に供されるもの(事務所則7条) | 一酸化炭素および炭酸ガスの含有率、室温および外気温、相対湿度 2月以内ごとに1回 3年 |
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6(※3) | 放射線業務を行う作業場 | 放射線業務を行う管理区域(電離則54条) | 外部放射線による線量当量率 1月以内ごとに1回 5年 |
放射線物質を取り扱う作業室(電離則55条) | 空気中の放射性物質の濃度 1月以内ごとに1回 5年 |
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事故由来廃棄物等取扱施設(電離則55条) | 空気中の放射性物質濃度 1月以内ごとに1回 5年 |
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坑内の核原料物質の掘採業務を行う作業場(電離則55条) | 空気中の放射性物質の濃度 1月以内ごとに1回 5年 |
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7 (※1,※2) |
特定化学物質等(第1類物質または第2類物質)を製造し、または取り扱う屋内作業場など(特化則36条) | 第1類物質または第2類物質の空気中の濃度 6月以内ごとに1回 3年(特定の物について30年間) |
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石綿等を取扱い、もしくは試験研究のため製造する屋内作業場 (石綿則36条) |
石綿の空気中における濃度 6月以内ごとに1回 40年 |
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8 (※1,※2) |
一定の鉛業務を行う屋内作業場(鉛則52条) | 空気中の鉛の濃度 1年以内ごとに1回 3年 |
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9 | 酸素欠乏危険場所において作業を行う場合の当該作業場(酸欠則3条) | 第1類酸素欠乏危険作業に係る作業場にあっては、空気中の酸素の濃度 作業開始前ごと 3年 |
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第2類酸素欠乏危険作業に係る作業場にあっては、空気中の酸素および硫化水素の濃度 作業開始前ごと 3年 |
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10 (※1,※2) |
第1種有機溶剤または第2種有機溶剤を製造し、または取り扱う業務を行う屋内作業場(有機則28条) | 当該有機溶剤の濃度 6月以内ごとに1回 3年 |
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11 (※2) |
廃棄物の焼却施設内作業場で運転・点検等の作業について(ダイオキシン類対策特別措置法) | ダイオキシン類濃度 6月以内ごとに1回 30年 |
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※1:指定作業場 ※2:作業環境評価基準の適用される作業場 ※3:「放射線業務を行う作業場」の測定については扱っておりません |
作業環境測定の手順
①作業環境測定の手順
単位作業場所、測定日、測定条件、測定点、測定手順を設定し、測定機器を使用してA測定、B測定を行ないます。
A測定 | 気中有害物質濃度の平均的な状態を把握するための測定です。一般には等間隔(原則として6メートル以下)の複数点で測定します。 |
B測定 | A測定を補完するための測定で、作業者の暴露が最大と考えられる場所と時間における濃度の測定です。 |
②作業環境測定結果の評価
A測定(またはA測定及びB測定)で採取された有害物の分析を行ない、結果を解析して評価を行ないます。評価は以下の3つの区分に分けられます。
第1管理区分 | 作業環境管理が適切であると判断される状態です。 |
第2管理区分 | 作業環境管理になお改善の余地があると判断される状態です。 |
第3管理区分 | 作業環境管理が適切でないと判断される状態です。 |
③作業環境測定結果の評価に基づいて行なう事業者の措置
上記の各評価に基づき以下の措置を講ずる必要があります。
第1管理区分 | 現在の管理の継続的維持に努める。 |
第2管理区分 | 施設、設備、作業工程・方法の点検を行い、その結果に基づき作業環境を改善するための必要な措置を講ずるよう努める。 |
第3管理区分 | 施設、設備、作業工程・方法の点検を行い、その結果に基づき作業環境を改善するための必要な措置を講ずる。また応急措置として有効な呼吸用保護具の使用を行ない、著しい暴露を受けた場合等で産業医等が必要と認めた場合には健康診断の実施が必要になります。 |
騒音作業場の作業環境測定の場合には以下の措置を講ずる必要があります。
第1管理区分 | 現在の管理の継続的維持に努める。 |
第2管理区分 | 標識の明示等を行なうと共に作業環境の改善に努める。また必要に応じて防音保護具の着用を行なう。 |
第3管理区分 | 標識の明示等を行なうと共に作業環境の改善措置を講ずる。また保護具の着用及びその旨の掲示を行なう。 |