汚染されていた場合に、どうなるのか?

汚染されていた場合に、どうなるのか?

行政措置

土壌汚染対策法に基づく調査の結果、法に定める指定基準に適合せず、土壌の汚染があると認められた土地については都道府県知事により「要措置区域」または「形質変更時要届出区域」として指定され、公示され、閲覧に供されます。

要措置区域 以下の2点に該当する場合に指定されます。

①土壌の汚染状態が指定基準に適合しない。

②土壌汚染の摂取経路があり、健康被害が生ずるおそれがある。

摂取経路とは…
 含有量基準値不適合:人が触れることができる、飛散するなど。
 溶出量基準値不適合:周辺地域において地下水を飲用に使用する井戸があるなど。

形質変更時要届出区域 以下の2点に該当する場合に指定されます。

①土壌の汚染状態が指定基準に適合しない。

②土壌汚染の摂取経路がなく、健康被害が生ずるおそれがない。

所有者等の対応

要措置区域 ①都道府県知事より指示された指示措置又は指示措置と同等以上の効果を有すると認められる汚染の除去等の措置を、指示された期限までに実施し、措置完了後に報告する必要があります。指示措置の内容としては直接摂取に対しては盛土、土壌入換え、土壌汚染の除去(砂場等に限る)などがあり、間接摂取に対しては不溶化、封じ込め(原位置、遮水工、遮断工)などがあります。

②土地の形質の変更が原則として禁止されます(禁止の例外行為あり)。

形質変更時要届出区域 ①形質変更時要届出区域では原則として土地の形質の変更に着手する14日前までに都道府県知事に届出が必要となります(届出不要な例外行為あり)。

②形質変更時の施行方法に関し、原則として以下の基準を満たす必要がある(自然由来特例区域に対する基準不適用など例外あり)。
1.汚染土壌の飛散、揮散、流出等を防止するために必要な措置を講ずる。
2.溶出量不適合土壌が帯水層に接しないようにする。
3.形質変更後に健康被害を生ずるおそれがないようにする。

自主調査で汚染が
発覚した場合
公正に、かつ、土壌汚染状況調査と同様の方法で行われた自主調査において土壌汚染が判明した場合には土地所有者等は(所有者等が複数いる場合には全員の合意を得た上で)都道府県知事に区域の指定を申請することができます。(土壌汚染対策法 第14条)

申請後、都道府県知事の判断を経て「要措置区域」または「形質変更時要届出区域」に指定された場合の所有者等の対応は上記の「要措置区域」または「形質変更時要届出区域」の内容と同様となります。

その他

不動産鑑定評価 不動産鑑定評価基準に土壌汚染の有無判定があり、汚染されている場合には鑑定評価が下がります。土壌汚染がある場合には、汚染物質の除去等の浄化費用の発生や土地利用上の制約により、土地評価の価格形成に重大な影響を与える場合があります。
土地売買 土地売買時など土地取引の際にトラブルになることが多く、訴訟・損害賠償等が発生する可能性があります。土地売買契約時の重要事項説明書にも土壌汚染の有無判定があり、土壌が汚染されていることを売主が知りつつ、それを買主に告げることなく土地を売った場合には様々な問題が発生することが考えられます。例としては詐欺取消、不利益事実の不告知に基づく契約解除、瑕疵担保責任による損害賠償請求・契約解除、不法行為責任による損害賠償請求・契約解除などが考えられます。

有害物質使用特定施設のあった工場等の土地売買の際は土壌が汚染されている可能性が高いため特に注意が必要です。

資産価値の低下 土壌汚染調査費用の発生、汚染土壌の浄化・除去費用の発生、土地利用上の制約などにより汚染がない状態よりも資産価値が低下することが考えられます。